【タスク代表例】意思決定後賭けパラダイム(Post-decision wagering paradigm)

知覚・認知判断に対する自信のモニター例えばMiddlebrooks & Sommer (Neuron 75:517, 2012)。標的位置へのサッケードをするDecision stageの後に報酬パターンを選ぶbet stage。標的のすぐ後にマスクが出るので標的位置の知覚が難しい。Bet stageで低リスク低リターン(誤答にも小報酬が出るが正答への報酬も小さい)か高リスク高リターン(誤答に報酬なしだが、正答への報酬が大きい)を選ぶ。

【タスク代表例】報酬待ち回避パラダイム

意思決定後賭けパラダイムを使うタスクをマーモセットに訓練するのは難しいかもしれない。その場合は、Kepecs..Mainen (2008)のパラダイムが良いかもしれない。Kepecs..Mainen (Nature 455:227, 2008)ラット。中央で臭Aと臭Bの混合を嗅がせ、Aの割合が大きければ左、Bの割合が大きければ右に頭を突っ込む。正しい方を選べば水を得る。差 が小さいと判定精度が下がった。次に水に2〜8秒の遅延を設け、水が出るまで待たずに次に試行を始めることを認めた。正答では判定精度が低い条件でスキップの確率が増し、誤答では判定精度が高い条件(まれに間違えたとき)にスキップの確率が高かった。自信の測定は、意思決定後賭けパラダイムでの回答の場合よりも間接的。

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(詳説)メタ認知

自分の認知の状態を認知すること。現在進行中の自分の思考や行動そのものを対象化して認識することにより、自分自身の認知行動を把握し、改善することができる。メタ認知については脳損傷患者での研究、fMRIを使ったヒトでの多くの研究がある。マカクおよび齧歯類を使った研究も数は少ないがある。メタ認知には前頭前野が重要な働きをするとの結果が多いが、一部には前頭前野は必ずしも必要ないとする研究もある。メタ認知の脳メカニズムを調べた脳科学的研究では、専ら認知精度の自信を調べていて、メタ認知の結果による認知過程の制御はまだ対象になっていない。メタ記憶とメタ認知のメカニズムは異なり、メタ記憶には前頭前野は必ずしも必要ないとの結果もある。

(課題一覧)メタ認知

<aside> <img src="https://img.icons8.com/ios/250/000000/layers.png" alt="https://img.icons8.com/ios/250/000000/layers.png" width="40px" /> 7. 上位注意制御(Supervisory attentional control)

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<aside> <img src="https://img.icons8.com/ios/250/000000/handshake-heart.png" alt="https://img.icons8.com/ios/250/000000/handshake-heart.png" width="40px" /> 9. 社会性 →

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マーモセット前頭前野の機能マッピングに向けたタスク指針

文責: 革新脳マーモセット脳機能データベース検討ワーキンググループ タスクセット検討小委員会 (中江健、宮本健太郎、中村克樹、田中啓治)

<aside> ©️ Copyright 革新脳マーモセット脳機能データベース検討ワーキンググループ タスクセット検討小委員会 2022

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