set shifting (flexibly switch back and forth between tasks or mental sets)

執行機能の3番目の基本要素としてCognitive flexibilityがある。Cognitive flexibilityは、現在の視点とは異なる位置から見た物体像を想像する空間的Cognitive flexibility、物事を別な側面から考える機能(thinking outside the box)、自分の考えの間違いを認めて別な考えを試すこと、などを含む。Cognitive flexibilityはタスクセットの切り替えでテストされることが多い。タスクセットの切り替えでは、切り替えのたびにタスクを学習し直しているのでなく、すでに学習されたタスクの切り替えをしていることを確かめる必要がある。反応抑制の場合と異なり、同程度に容易な複数のタスクを用いる。

【タスク代表例】2次元の刺激を用いたタスク―行為マッピング規則の切り替え

例えばSakagami..Hikosaka (J Neurosci 21:4801, 2001) 刺激を2次元(図形の色と形、あるいはドットパターンの色と運動方向)にし、注目すべき刺激次元を切り替える。次元ごとに、特定の刺激特徴を特定の行為(例えば異なる方向のボタン押し)にマップする。実行すべき規則(注目すべき次元)は手掛かり刺激で指定する。数十試行のブロックごとに規則を変更する場合と、試行ごとにランダムに指定する場合がある。ブロックの方が日常環境に近い。マーモセットではヒトと異なる色覚を持つ個体が多いので注意が必要。

歴史的には刺激逆転学習がBehavioral flexibilityのテストとしてよく用いられてきた。S+(報酬と連合した刺激)とS-(報酬と連合してない刺激)を同時に提示し、S+を選択させる。ブロックごとにS+とS-を逆転する。刺激と報酬の連合を確率的(例えばS+とS-の選択に対しそれぞれ70%と30%の確率で報酬を与える)にしたのが確率的刺激逆転学習。報酬予測誤差による強化学習の枠組みで学習行動を整理できるメリットがある。確率的の場合はモデルベーストのWin-stay loose-shift戦略が取れなくなる。逆転後は、前のブロックでの連合の記憶を抑制した後、新しい連合を再学習する。逆転学習では尾状核の関与が大きい。

ウィスコンシンカード分類課題およびその類似タスクではタスクを示す手がかり刺激がなく、被験体は試行錯誤で現在有効なタスクを探しこれを試行を越えて維持する必要がある。この場合は、タスクセットの切り替えとは別の要素機能を課することになる。

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(詳説)執行機能:タスクセットの切り替え

執行機能の3番目の基本要素としてCognitive flexibilityがある。Cognitive flexibilityは、現在のそれとは異なる位置から見た物体像を想像する空間的Cognitive flexibility、物事を別な側面から考える機能(thinking outside the box)、自分の考えの間違いを認めて別な考えを試すこと、などを含み、ヒトではunusual uses task、verbal fluency、category fluencyなどでテストされる。よく制御された実験室テストとしては、Cognitive flexibilityはタスクセットの切り替え(Flexibly switch back and forth between tasks or mental sets)でテストされることが多い。刺激―行為マッピングを使うことが多い。切り替えのたびにタスクを学習し直しているのでなく、すでに学習されたタスクの切り替えをしていることを確かめる必要がある。

2次元の刺激を用いた刺激―行為マッピング規則の切り替え

刺激を2次元(図形の色と形、あるいはドットパターンの色と運動方向)にし、注目すべき刺激次元を切り替える。次元ごとに、特定の刺激特徴を特定の行為(例えば異なる方向のボタン押し)にマップする。実行すべき規則(注目すべき次元)は手掛かり刺激で指定する。数十試行のブロックごとに規則を変更する場合と、試行ごとにランダムに指定する場合がある。ブロックの方が日常環境に近い。マーモセットではヒトと異なる色覚を持つ個体が多いので注意が必要。

(課題一覧)執行機能:タスクセットの切り替え『2次元の刺激を用いた刺激―行為マッピング規則の切り替え』

歴史的には刺激逆転学習がBehavioral flexibilityのテストとしてよく用いられてきた。S+(報酬と連合した刺激)とS-(報酬と連合してない刺激)を同時に提示し、S+を選択させる。ブロックごとにS+とS-を逆転する。刺激と報酬の連合を確率的(例えばS+とS-の選択に対しそれぞれ70%と30%の確率で報酬を与える)にしたのが確率的刺激逆転学習。報酬予測誤差による強化学習の枠組みで学習行動を整理できるメリットがある。確率的の場合はモデルベーストのWin-stay loose-shift戦略が取れなくなる。逆転後は、前のブロックでの連合の記憶を抑制した後、新しい連合を再学習する。逆転学習では尾状核の関与が大きい。

ウィスコンシンカード分類課題およびその類似タスクではタスクを示す手がかり刺激がなく、被験体は試行錯誤で現在有効なタスクを探しこれを試行を越えて維持する必要がある。この場合は、タスクセットの切り替えとは別の要素機能を課することになる。

ヒトでタスクセットの切り替えのテストに用いられてきた代表的なタスク

(課題一覧)執行機能:タスクセットの切り替え『ヒトでタスクセットの切り替えのテストに用いられてきた代表的なタスク』

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