計算論的神経科学(Computational Neuroscience)は数理的アプローチを用いて脳や心を研究する分野です。計算論的精神医学(Computational Psychiatry)は、この中で統合失調症などの精神医学を扱う領域で、同名の国際雑誌が刊行され近年国際的にも認められる分野となっています。一方で、脳や心の疾患ですがアルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患、てんかんや脳卒中など神経内科学(Neurology)に属する疾患に関して、計算論的な立場からまとまった分野としての取り扱いがなされていません。Computational Neurology研究会ではこれらの疾患に対する新たな分野を立ち上げることを目指しています。具体的な方向性としては、2ヶ月に1回の開催で日本における関心を調査し、コミュニティを作成することを目標にしています。学生、研究者の参加を歓迎します。原則的にオンラインでの開催を行う予定です。
共催:日本学術振興会 学術変革領域A「行動変容生物学」、自然科学研究機構・生命創成探究センター(ExCELLS)
オーガナイザー:矢田祐一郎(名古屋大学 大学院医学系研究科)、近藤洋平(名古屋大学 大学院医学研究科)、中江健(自然科学研究機構生命創成探究センター)
2024年12月15日 第13回Computational Neurology Clubの概要を公開
2024年12月10日 第12回Computational Neurology Clubの概要を公開
2024年10月19日 第11回Computational Neurology Clubの概要を公開
2024年6月26日 第9,10回Computational Neurology Clubの概要を公開
第2回Computational Neurology Club AI summary
講演者:
坂戸勇介(京都大学大学院 医学研究科 (現 大津赤十字病院 脳神経内科)) 澤本伸克(京都大学大学院 医学研究科)
開催場所:Zoom
日時:2025年1月17日(金)14:30-16:00 JST
タイトル:パーキンソン病における脳萎縮パターンに基づく異なるサブタイプの同定
概要:パーキンソン病は、運動緩慢・筋強剛・静止時振戦などの運動症状に加え、認知機能低下・自律神経症状・精神症状など様々な非運動症状を呈するが、それらの組み合わせや進行速度には大きな多様性がある。これまで、発症年齢や優位な運動症状に基づいたPDのサブタイプ分類が試みられてきたが、その病理学的な背景は明らかにされていない。最近、疾患進行モデルとクラスタリング手法を統合した機械学習アルゴリズム”Subtype and Stage Inference (SuStaIn)”が提案された(Young, et al. Nat Commun. 2018)。この手法を遺伝性前頭側頭型認知症の脳MRI構造画像・横断データに適用して脳萎縮の空間的および時間的な進行パターンを推定することで、遺伝子型に基づくサブタイプが同定できることが示された。我々はパーキンソン病にSuStaInを適用し、脳萎縮の空間的および時間的な進行パターンに基づいて3つの異なるサブタイプを同定し、それぞれの臨床的特徴の違いを明らかにした(Sakato et al. Brain. 2024)。本講演では、この研究をご紹介すると共に、今後の研究の展開についても議論したい。
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