計算論的神経科学(Computational Neuroscience)は数理的アプローチを用いて脳や心を研究する分野です。計算論的精神医学(Computational Psychiatry)は、この中で統合失調症などの精神医学を扱う領域で、同名の国際雑誌が刊行され近年国際的にも認められる分野となっています。一方で、脳や心の疾患ですがアルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患、てんかんや脳卒中など神経内科学(Neurology)に属する疾患に関して、計算論的な立場からまとまった分野としての取り扱いがなされていません。Computational Neurology研究会ではこれらの疾患に対する新たな分野を立ち上げることを目指しています。具体的な方向性としては、2ヶ月に1回の開催で日本における関心を調査し、コミュニティを作成することを目標にしています。学生、研究者の参加を歓迎します。原則的にオンラインでの開催を行う予定です。
共催:日本学術振興会 学術変革領域A「行動変容生物学」、自然科学研究機構・生命創成探究センター(ExCELLS)
オーガナイザー:矢田祐一郎(名古屋大学 大学院医学系研究科)、近藤洋平(名古屋大学 大学院医学研究科)、中江健(自然科学研究機構生命創成探究センター)
2024年10月19日 第11回Computational Neurology Clubの概要を公開
2024年6月26日 第9,10回Computational Neurology Clubの概要を公開
第2回Computational Neurology Club AI summary
講演者:岩波翔也(名古屋大学)
開催場所:Hybrid(名古屋大学)+Zoom
日時:2024年12月10日(火)15:00-16:30 JST
タイトル:TBA
講演者:平林 敏行(量子科学技術研究開発機構)
開催場所:Zoom
日時:2024年11月12日(火)13:00-14:30 JST
タイトル:タウ・ネットワークマッピングによる病変と症状をつなぐ回路の同定と霊長類モデルの遺伝学的回路操作による因果性検証
概要:神経変性疾患において、脳内に蓄積した異常タンパク質を検出する高感度PETプローブの開発により、病変部位を個々の患者レベルで同定できるようになってきた。これによってわかってきたのは、同じ症状を呈する患者間でも病変部位は千差万別で、病変部位と症状の関係が単純には説明できないということである。このギャップを埋めることは病態回路の理解と疾患克服に不可欠だが、決定的な解決法は未だに提示されていない。
近年、タウオパチーと同様に病変部位が多様な脳卒中において、病変部位情報を健常群の大規模な安静時脳機能結合データと組み合わせ、症状発現の障害回路「コア・ネットワーク」を導出するLesion Network Mapping(LNM) が提案され、注目されている。しかし、コア・ネットワーク障害の実在や症状との因果性は示されておらず、病態回路の理解と治療法開発への障壁となっていた。