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計算論的神経科学(Computational Neuroscience)は数理的アプローチを用いて脳や心を研究する分野です。計算論的精神医学(Computational Psychiatry)は、この中で統合失調症などの精神医学を扱う領域で、同名の国際雑誌が刊行され近年国際的にも認められる分野となっています。一方で、脳や心の疾患ですがアルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患、てんかんや脳卒中など神経内科学(Neurology)に属する疾患に関して、計算論的な立場からまとまった分野としての取り扱いがなされていません。Computational Neurology研究会ではこれらの疾患に対する新たな分野を立ち上げることを目指しています。具体的な方向性としては、2ヶ月に1回の開催で日本における関心を調査し、コミュニティを作成することを目標にしています。学生、研究者の参加を歓迎します。原則的にオンラインでの開催を行う予定です。

共催日本学術振興会 学術変革領域A「行動変容生物学」自然科学研究機構・生命創成探究センター(ExCELLS)

オーガナイザー:矢田祐一郎(名古屋大学 大学院医学系研究科)、近藤洋平(名古屋大学 大学院医学研究科)、中江健(自然科学研究機構生命創成探究センター)

更新履歴

2024年12月10日 第12回Computational Neurology Clubの概要を公開

2024年10月19日 第11回Computational Neurology Clubの概要を公開

2024年6月26日 第9,10回Computational Neurology Clubの概要を公開

更新履歴(過去)

第2回Computational Neurology Club AI summary

第12回 Computational Neurology Club Seminar

講演者:岩波翔也(名古屋大学)

開催場所:Hybrid(名古屋大学)+Zoom

日時:2024年12月10日(火)15:00-16:30 JST

タイトル:数理モデルを用いたウイルスと感染症の理解

概要:ウイルスは宿主に感染すると、標的細胞に侵入し、宿主細胞のゲノム複製、転写、翻訳の仕組みを利用して増殖する。新たに形成されたウイルス粒子は感染細胞から放出され、他の細胞に感染することで、個体内で伝播しながら増殖する。ウイルス感染症は、ウイルス感染を起点とする免疫反応などの異常によって引き起こされるため、個体内でのウイルス増殖過程を理解することは、治療標的の探索や感染様式の解明において重要である。我々は、宿主個体内でのウイルス感染動態を数理モデルで記述し、培養細胞を用いた感染実験や、感染個体内での細胞数やウイルス量の時間変化を解析することで、その増殖および伝播の特性を明らかにしてきた。本講演では、これまでの研究成果を紹介するとともに、病原体の伝播が引き起こす疾患を理解し制御するために、数理モデルがどのように貢献できるかを議論したい。

参考文献:

Iwanami et al., Should a viral genome stay in the host cell or leave? A quantitative dynamics study of how hepatitis C virus deals with this dilemma. PLOS Biology, 2020. https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3000562

Iwanami, Ejima et al., Detection of significant antiviral drug effects on COVID-19 with reasonable sample sizes in randomized controlled trials: A modeling study. PLOS Medicine, 2021. https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1003660

岩見ほか, ウイルス感染の数理モデルとシミュレーション―データを定量的に理解する―. 共立出版, 2024. ISBN: 9784320115538. https://www.kyoritsu-pub.co.jp/book/b10044853.html

第11回 Computational Neurology Club Seminar